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がん保険とは? about

がん保険とは、医療保険の仲間のひとつで、数ある病気の中でもがんに特化した保険です。

生命保険会社、損害保険会社両方で取扱いがあり、様々ながん保険があります。力を入れている保障や内容もがん保険ごとに異なるので、何の保障を重視するのか、それによって選ぶ商品が違ってきます。

がん保険の特徴や必要性などを確認しながら、新規でがん保険に加入する方法や見直しの方法についても見ていきましょう。

目次

1. がん保険とはどんな保険?

(1)がん保険とは「がんの保障に特化した保険」

がん保険とは民間の生命保険会社や損害保険会社が販売している医療保険の仲間のひとつで、病気の中でもがんに特化して保障する保険です

がん保険は主に、次の4つの保障内容から成り立っています。

1. がん診断給付金

2. がん入院給付金

3. がん通院給付金

4. がん手術給付金

この他にも、保険会社によって名前や保障内容は異なりますが、以下に挙げるようながんに特化した多数の保障や特約を選ぶことができます。

・がん先進医療特約

・放射線治療給付金

・緩和療養給付金

・保険料払込免除特約 など

たくさんの保障を選べばそれだけ保険料は高くなりますが、必要な保障だけを選べば自分だけのオーダーメイドのがん保険を作ることも可能です。

(2)がん保険と医療保険の違い

がん保険と医療保険の主な違いは、がん保険が保障の対象をがん(悪性新生物・上皮内新生物)だけに特化しているのに対し、医療保険はがんを含む病気やけがを幅広く保障することです。

その他にも、がん保険と医療保険を比較するとさまざまな違いがあります。

  がん保険 医療保険
保障対象 悪性新生物・上皮内新生物 病気・ケガ
主な給付金
  • がん入院給付金
  • がん手術給付金
  • がん通院給付金
  • がん診断給付金(一時金)
  • がん先進医療給付金 など
  • 入院給付金
  • 手術給付金
  • 通院給付金
  • 先進医療給付金 など
免責期間 90日間* なし*
1入院の支払限度日数 無制限* 制限あり(60日、120日など)
通算の支払限度日数 無制限* 制限あり(1,000日、1,095日など)
  • *商品によって例外もあります。

保障の対象以外で大きな違いは、入院の支払限度日数でしょう。

がんは治療期間が長くなることが多いため、がん保険の1入院の支払限度日数が無制限です。再発リスクに備えて、通算の支払限度日数も無制限になっています。

また「がん診断給付金」など50万円から300万円といった高額な給付金や、「抗がん剤治療」「緩和療養」も保障する多様な保障内容など、医療保険と比較して、がん保険の保障内容はとても手厚くなっています

(3)がん保険の種類

がん保険には「主契約型」と「特約型」の2種類があります。

主契約型

保険マメ知識

主契約型(しゅけいやくがた)
主契約型は「がん診断給付金」や「がん入院給付金」そのものががん保険という形になっているもの。
主契約と特約の構成

充実した保障内容を選びたいのであれば、保障の種類の多い主契約型を選ぶことをおすすめします。

主契約型にはがん先進医療特約や保険料払込免除特約などの特約を付加してさらに保障を充実させることができます。

ただし、保障を充実させることで保険料は高くなりますので、必要のない保障まで組み込んでしまうと保険料の支払が家計を圧迫してしまうので注意が必要です。

特約型

保険マメ知識

特約型(とくやくがた)
特約型は、主契約が医療保険や死亡保険などで、その特約として「がん診断給付金特約」「がん入院給付金特約」などを付加するがん保険。

特約型は、主契約型よりも安い保険料でがんに対する保障を選ぶことができますが、主契約型と比べると保障の種類が少ないというデメリットがありますので、必要な保障が特約型にあるかどうかをしっかりと見極める必要があります。

また、基本的に特約だけでの契約は不可能なため、主契約を解約すると特約のがんに対する保障もなくなってしまいます。(最近は必須となる主契約がない保険商品、特約組立型総合保険が販売されています。)

将来もし主契約を解約する予定がある場合には特約型のがん保険ではなく主契約型のがん保険を選んだ方が安心です。

(4)保障期間について

がん保険の保障期間をどのように決めるかを考えるときのポイントは次の2つです。

1. 終身型、定期型どちらにするか

2. 免責期間があること

終身型、定期型の2種類

がん保険の保障期間には「終身型」と「定期型」の2種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

  メリット デメリット
終身型
  • 一生涯のがんに対する保障がある
  • 保険料が一生上がらない
※一部の保険会社では60歳以降の保険料が下がるものも販売しています
  • 定期型と比べて保険料が高い場合がある
  • 契約が長くなれば保障内容が新しい医療技術についていけなくなる可能性がある
定期型
  • 終身型と比べて保険料が安い
  • 保険満了時に保障の見直しができる
  • 保障は更新しても80歳までしか続かない場合がほとんど
  • 更新ごとに保険料が上がる

「一生涯のがんの保障がほしい」「保険料は一生上がらないほうがいい」と思うなら終身型を、「一定の期間だけ保障が欲しい」「今は保険料をできるだけ抑えたい」と思うなら定期型を選ぶと良いでしょう。

ただし、どちらを選んでもライフステージなどの変化があれば保障の見直しをすることもできますし、がんに対する最新の治療法を保障するプランがあれば比較検討して見直すこともできます。

免責期間がある

通常、生命保険は申込手続きが完了し、第一回目の保険料の支払完了後または告知や診査が完了したどちらか遅い日から保障は開始しますが、がん保険の保障開始は少し違います。

がん保険には、保障開始までに一定の待期期間があり、一般的に加入後90日が経過しないと保障は開始しません。

これを免責期間といいます。

免責期間について

がん保険に免責期間がある理由は、契約の公平性を保つためです。
がん保険にはがん診断給付金など高額な保障があるため、病院でがんと診断されていなくても様々な自覚症状が出ている状態でがん保険に加入し、保険金や給付金を不正に受け取ることがないように免責期間が設定されています。

免責期間中は、下記などの保障はされないため、新規加入や見直しの際には注意が必要です。

・がん診断給付金

・がん入院給付金

・がん通院給付金

・がん手術給付金 など

保険会社によっては免責期間のないがん保険を販売しているところもありますが、がん診断給付金がなかったり、保障される金額が小さい傾向があるため、がん保険への加入を検討する際には免責期間のある・なしを必ず確認するようにしましょう。

(5)保険料と保険料払込期間について

がん保険の保障を充実させながら保険料も安く抑えたい場合、保険料払込期間をしっかりと確認して検討する必要があります。

ポイントは次の2つです。

1. 終身払いと有期払い

2. 払込期間は期間満了もしくは保険事故発生まで

終身払いと有期払い

がん保険の保険料の支払方法には、終身払いと有期払いの2種類があり、同じ保障内容でも払込方法が違うと毎月の保険料の支払金額にも差が出てきます

① 終身払い

保険マメ知識

終身払(しゅうしんばらい)
一生涯にわたり保険料を支払うことで、毎月の保険料を下げる効果がある。
終身払い

② 有期払

保険マメ知識

有期払(ゆうきばらい)
60歳、65歳など保険料の支払期間が決まっていて、保険料払込完了後は家計への負担ゼロで保障を継続することができる。
有期払い

例えば、A社の終身がん保険に加入した30歳女性が支払う保険料を、終身払いと有期払いで比較してみましょう。

終身払いだと毎月の保険料は2,445円ですが、60歳払いにすると毎月の保険料は3,828円となります。もし60歳まで生きたはときには終身払いの支払保険料の合計は880,200円ですが、60歳払いの支払保険料の合計は1,378,080円となります。

終身払い・有期払いの場合の保険料総額の比較

しかし、47年後(77歳)になるまで生きた場合、終身払いの支払保険料の合計が有期払いの支払総額を上回ります。

厚生労働省の「主な年齢の平均余命」を見ると、30歳女性の平均余命は87歳ですので、データ的に見れば終身払いよりも有期払い(60歳払い)のほうがトータルでお得ということがわかります。

ただし、定期的な見直しを考えているのであれば保険料の安い終身払いを選ぶもの一つの選択肢ですので、まずは自分がどの払込方法を選びたいのかをしっかりと検討しましょう。

払込期間は期間満了もしくは保険事故発生まで

保険料の払込期間は、通常終身払いか有期払いなど保険期間満了までですが、保険料払込免除特約が付加されている場合は保険料の支払が免除される場合があります。

保険マメ知識

がん保険における保険料払込免除特約
医療機関で初めて悪性新生物(がん)と診断された場合に以降の保険料の払込を免除するという特約。
払込免除特約の解説

通常、がん保険の保険期間中に保険金や給付金を受け取ったとしても、毎月の保険料の支払を継続する必要があります。

がんに罹患した際、治療に専念するために仕事を休んだりセーブすることで生じる収入減が続くと、預貯金が減り、保険料の支払が困難になり、保険が失効してしまうことがあることから、がん保険に加入するときには必ず保険料払込免除特約の付加を検討するようにしましょう

(6)がん保険の特約

がん保険には、以下に挙げるほかさまざまな種類の特約を付加することができます。

・がん先進医療特約

・保険料払込免除特約

・がん通院給付金特約

・放射線治療給付金特約

・緩和ケア給付金特約 など

これらの特約は保険会社ごとに名称が異なる場合や特約自体がない場合もあり、また保障内容や支払条件などにも差がありますので、契約前に必ず各保険会社に確認しましょう。

がん先進医療特約

がん先進医療特約とは、保険期間中にがんを直接の原因として約款所定の先進医療による療養を受けたときにその治療にかかった自己負担分の給付金を受け取ることができます

保険マメ知識

先進医療(せんしんいりょう)
先進医療とは、厚生労働大臣から承認を受けた高度な医療技術を用いた治療を指す。先進医療の技術及びその先進医療の技術を実施可能とする医療機関のリストは厚生労働省により不定期に更新されている。
※参考:厚生労働省 先進医療の概要について

がん治療で利用される先進医療で有名なものに重粒子線治療(約300万円)がありますが、厚生労働省の「先進医療の概要について」でもあるように、先進医療は健康保険の適用外の治療となるため、治療費は全額自己負担になります。

昔とは異なり、近年は「がんは治る病気」といわれています。様々な医療技術の進化を取り入れて治療したいという人には、先進医療特約はあると助かる特約でしょう。

保険料払込免除特約

がん保険に付加されている保険料払込免除特約は、初めて悪性新生物(がん)と診断確定されたとき、以降の保険料の払込が免除されます。

東京都福祉保健局の「がん患者の就労等に関する実態調査」では、がんによって収入が減ったと答えた個人は全体で49.4%、世帯収入では33.4%が減ったと答えています。

がん罹患後の収入の状況(患者本人)
がん罹患後の収入の状況(世帯全体)

がんの治療は高額化かつ長期化する傾向にあり、その影響で収入減になり保険料の払込が困難になると契約が失効してしまい、保険金や給付金を請求することができなくなってしまいますので、保険料払込免除特約は必ず検討するようにしましょう。

がん通院給付金特約

がんの治療には手術や薬物治療、放射線治療などがありますが、厚生労働省によると、近年における主ながん治療のための平均入院日数は短くなり、その一方で通院で治療を受ける患者が増えています

入院日数の推移

このことからも、入院や手術に対する保障だけでなく、通院治療にも対応しているがん通院給付金特約も検討が必要です。

放射線治療給付金特約

放射線治療給付金特約とは、「がん」や「上皮内新生物」の治療を目的とする所定の放射線治療(電磁波温熱療法を含む)を受けたときに給付金を支払うというものです。

保険マメ知識

上皮内新生物(じょうひないしんせいぶつ)
がん細胞が上皮の内側にとどまっている状態で、一般的な悪性新生物(がん)になる手前の状態なので悪性新生物(がん)とは区別される。

保険会社によって保障される内容は異なりますが、一般的には以下に挙げる内容などで保障がなされています。

・60日に1回

・支払回数は無制限 など

入院治療を行わずに通院で放射線治療を行う場合、がん入院給付金だけだと対応できない部分となりますので、検討することをおすすめします。

緩和ケア給付金特約

緩和ケア給付金特約とは、がんによる「痛み」を取るための治療や処置をしたときに給付金を受け取れます。

具体的には次のようなものが保障の対象となります。

・がん性疼痛緩和(とうつうかんわ)を目的とする所定の疼痛緩和薬または神経ブロックが使用された入院または通院をしたとき

・がん性疼痛などの各種症状の緩和を目的とする所定の緩和ケア病棟へ入院をしたとき

・がん性疼痛などの各種症状の緩和を目的とする所定の在宅医療を受けたとき

ただし、「1ヶ月に1回」「保険期間内に24回まで」など条件が決まっている場合や、そもそも特約自体を取り扱っていない保険会社もありますので事前の確認が必要です。

(7)解約と税金について

解約について

がん保険に加入した当初は解約しないことを前提に契約されることがほとんどであっても、環境や家計の変化などでどうしてもという時もあるでしょう。

その場合には、生命保険会社所定の手続きを踏むことで解約が可能です。
生命保険会社ごとに手続き方法は異なりますので、詳しくはご契約の生命保険会社へご確認ください。

解約返戻金と税金について

がん保険でも掛け捨て型であれば解約しても解約返戻金はないか、あってもごくわずかであることが一般的です。

終身型の場合も同様で、解約しても解約返戻金はないか、ごくわずかであることが多いです。商品によっては、解約返戻金があり、契約年数に応じて解約返戻金の金額が変動するものがある場合があります。

保険マメ知識

解約返戻金(かいやくへんれいきん)
生命保険などの保険契約を解約した際に戻ってくるお金のこと。

解約返戻金を受け取った際、税金はどうなるのでしょうか?

解約返戻金は、一時所得の扱いになります(2020年6月時点)。これは、解約までに払い込んだ保険料の累計額<解約返戻金の場合に一時所得として所得税がかかることを指します。

基本的な計算式は、下記の通りとなります。

【(解約返戻金-支払保険料総額-50万円(特別控除))× 1/2】= 課税対象額

一時所得はその他の所得との総合課税となり、個人毎に税率等が異なるため、税理士または税務署に詳細のご確認をお願いいたします。

(8)がん保険のメリット・デメリット

がん保険のメリット

① 入院給付金は日数の限度が無い

② がん診断時に一時金を受け取ることができる

③ 先進医療特約で最新の治療法も選択できる

がん保険のデメリット

① がんに対する治療のみを保障対象としている

② 皮膚がん(上皮内新生物)の一部は保障の対象にならないものもしくは給付金が削減されるものもある

③ 契約後には90日間の待機期間(免責期間)がある

④ 公的な健康保険でも対応できる場合がある

⑤ 死亡保障がないか、あっても金額が少ない

2. がん保険の必要性

(1)がんという病気について

がん保険はがんに特化した保険で保障内容も充実しているものが多いのが特徴ですが、そもそもがん保険は本当に必要なものなのでしょうか?

現在、すでに生命保険契約をしている世帯でのがん保険加入率は62.8%※となっていますが、健康保険の高額療養費制度など、通常使える社会保険では足りないのでしょうか?

ここでは、がんという病気の特性、かかる治療費について、様々な治療方法などのポイントからその必要性を見てみましょう。

がんは悪性新生物(悪性腫瘍)であり、良性の腫瘍とは異なります。

悪性新生物には3つの特徴があり、良性でも発生する部位によっては脳腫瘍のように重篤な症状になることもあります。

  • ※出典 (公財)生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」

悪性新生物の3つの特徴

①自律性増殖
自律性増殖の解説

がん細胞はヒトの正常な新陳代謝の都合を考えず、自律的に勝手に増殖を続け、止まることがない。

②浸潤(しつじゅん)、転移
浸潤、転移

周囲にしみ出るように広がる(浸潤)とともに、体のあちこちに飛び火(転移)し、次から次へと新しいがん組織をつくってしまう。

③悪液質(あくえきしつ)
悪液質

がん組織は、他の正常組織が摂取しようとする栄養をどんどん奪ってしまい、体が衰弱する。

がんに罹患する確率と死亡する確率

国立がん研究センターの調査によると、生涯でがんに罹患する確率は、男性65%(2人に1人)女性50%(2人に1人)※といわれています。

  • ※出典:国立がん研究センターがん情報サービス 
    5)がんに罹患する確率~累積罹患リスク(2017年データに基づく)

罹患率は60歳以下は女性のほうが男性を上回り、60歳代から女性より男性の罹患率が大幅に上回ります。
また、男女ともに50歳代くらいから増加し、高齢になればなるほど高くなる傾向にあります。

年齢階級別罹患率
  • ※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
    対人口10万人(人口10万人あたり、年齢別で何人ががんになるのか)

また、男女でがんで死亡する人の多い部位も異なっていて、男性では肺・胃・大腸・膵臓・肝臓が、女性では大腸・肺・膵臓・胃・乳房が多いという結果も出ています。

部位別がん死亡率(全年齢)(2018年)
  • ※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

ただし、死亡する人が多い部位のがんと罹患しやすい部位のがんは異なり、男性は

1. 前立腺

2. 胃

3. 大腸

の順に、女性は

1. 大腸

2. 胃

3. 肺

の順となっていて、違いは明らかです。

下図の通り、男性では40歳以上で消化器系のがん(胃、大腸、肝臓)の罹患が多くを占めますが、70歳以上ではその割合は減少し、前立腺がんと肺がんの割合が増加しています。

年齢部位別がん罹患数割合 40歳以上 男性(2017年)

女性では40歳代では乳がん、子宮がん、卵巣がんの罹患が多くを占めますが、高齢になるほどその割合は減少し、消化器系のがん(胃、大腸、肝臓)と肺がんの割合が増加する傾向にあります。

年齢部位別がん罹患数割合 40歳以上 女性(2017年)
  • ※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

このように、男女それぞれで罹患しやすいがん、死亡するリスクの高いがんが違うことを理解し、それぞれの年齢ごとに異なるリスクがあることを知っておきましょう。

また、

・検診受診率の上昇により早期発見・早期治療ができるようになったこと

・治療技術の進歩

・検査技術の向上 など

上記の理由から罹患率が延びているかわりに、がんの死亡率は減少していることから、がんは「早期で治療すれば治る」病気へと変わってきました。

(2)がんの治療方法

従来がん治療の基本は手術でしたが、近年では薬物療法や放射線治療が著しく進歩し、複数の治療法を組み合わせた「集学的治療」も数多く行われるようになりました。

がんに罹患した人が受ける治療には、手術・放射線治療・抗がん剤治療の三大がん治療があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

三大がん治療

手術(外科療法)

保険マメ知識

手術(しゅじゅつ)
がんおよびその周辺組織の全部または一部を切除する治療法。

最近では開腹手術に比べて体への負担が少ない腹腔鏡など内視鏡を用いた手術が重視されていますが、それには高度な医療技術を必要とします。

【手術のメリット】

・がんが局所に固まっていれば有効な治療法で、根治性が高い

【手術のデメリット】

・ときに臓器などの機能と身体の形態の欠損(ダメージ)が大きいことがある

抗がん剤治療

保険マメ知識

抗がん剤治療(こうがんざいちりょう)
抗がん剤を点滴や静脈内注射、内服などの方法で投与し、細胞が増殖するのを抑えたり成長を遅らせたり、転移や再発を防いだり、小さながんで転移しているかもしれないところを治療するためなどに用いられる治療法。

・細胞の増殖を抑える

・細胞の成長を遅らせる

・転移や再発を防ぐ

・転移しているかもしれない小さながんを治療する

最近注目されている分子標的薬は、細胞のがん化やがん細胞の増殖に必要なたんぱく質や分子などを狙い撃ちするため、生存期間を大幅に延長できるなど大きな効果が得られています。

【抗がん剤治療のメリット】

・全身に作用し、病状の進行を抑えたり、延命効果があることもある

【抗がん剤治療のデメリット】

・吐き気や脱毛などの副作用が課題で、根治性が高いとはいえない

放射線治療

保険マメ知識

放射線治療(ほうしゃせんちりょう)
がんおよび周辺組織に放射線を当てたり、小さな放射線源をがんの近くの体内に埋め込むことにより、以下の方法を用いてがん細胞を破壊してがんを消滅させたり小さくする治療法。

・がんおよび周辺組織に放射線を当てる

・小さな放射線源をがんの近くの体内に埋め込む

また、骨転移による痛みや脳転移による神経症状を和らげるときにも行います。

【放射線治療のメリット】

・放射線治療はがんが局所に固まっていれば有効で、臓器などの機能と身体の形態の欠損(ダメージ)が少なく、全身への影響も少ない

・早期がんへの治療成績が高い

【放射線治療のデメリット】

・局所に副作用を残すことがある

(3)がんの部位別治療費の目安

がんの治療費は高額になりがちで、がんの部位や範囲、進行具合によって治療方法は異なりますので、かかる治療費にも差が出てきます。

また、がんの治療にかかるお金の問題は個人だけの問題ではなく、家族の問題としても家計を圧迫する原因となります。

がんの治療が始まると高額な治療費だけでなく、仕事を休んだり退職したりすることもあり生活が苦しくなることも予想できますので、治療費や収入減による生活費の補てんをどうするかは早いうちに考えておくべき問題でもあります。

高額な治療費には健康保険の高額療養費制度などの社会保険も利用できますが、それを差し引いても家計にかかる負担は大きくなる傾向にありますので、預貯金に大きな余裕がない場合にはやはりがん保険への加入を検討することが必要になってきます。

これから紹介する治療費の目安は、セールス手帖社保険FPS研究所発行の「がんとお金の真実」という冊子を参考にしています。

部位 治療費総額
胃がん 約36万9,000円
(罹患後3年間、高額療養費適用なし)
肺がん 約206万9,000円
(罹患後3年間)
乳がん 約353万5,000円
(罹患後5年間)
  • 【出典】セールス手帖社保険FPS研究所発行の「がんとお金の真実」

(4)健康保険適用外で自己負担になる費用

健康保険の対象とならない治療費用や諸経費は自己負担となり、高額になるケースもあります。特に金額の大きいのは次の3つです。

・差額ベッド代

・保険適用外の治療費や手術代

・先進医療費

差額ベッド代

差額ベッド代は「特別療養環境室料」という名目で全額自己負担となります。

保険マメ知識

差額ベッド代(さがくべっどだい)
患者の希望で個室等に入室した場合にかかる費用。

差額ベッド代の基準は、以下の通りです。

① 一病室の病床数は4床以下であること。

② 病室の面積は1人当たり6.4平方メートル以上であること。

③ 病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備を備えていること。

④ 最低限の設備として、個人用の私物の収納設備、個人用の照明、小机等及び椅子があること。

  • ※出典:厚生労働省「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について(平成18年3月13日付保医発第0313003号(最終改定:令和2年3月5日付保医発第0305第5号)

本来は患者の希望によるものですが「差額ベッド代のかからない病室がない」などの理由で、利用せざるを得ないこともあります。
その場合、患者は差額ベッド代の負担をする必要はありません。

厚生労働省の中央社会保険医療協議会の調査によると、平成30年の 差額ベッド1日当たりの料金は平均6,188円です。

1人部屋 7,837円
2人部屋 3,119円
3人部屋 2,798円
4人部屋 2,440円
平均 6,188円
  • ※出典:厚生労働省 平成30年11月14日「中央社会保険医療協議会 総会(第401回)主な選定療養に係る報告状況」

1日当たりの費用は大きくなくても、

・入院が長期化した場合は負担が大きい

・入院患者の多くが差額ベッド代を負担している など

について注意が必要です。

保険適用外の治療費や手術代

保険適用外の治療費や手術代は「自由診療」と呼ばれ、全額自己負担となります。

次に紹介する先進医療のほか、日本では未承認の治療や薬品の投与などがあります。現在は保険適用外ですが、将来的に保険適用を検討する医療も含まれます。

また、時間外診察や予約診察など、患者希望の快適性や利便性にかかる費用も全額自己負担となります。

先進医療費

先進医療は「患者の安全性の確保」「治療の選択肢の拡大」などの観点から、保険診療との併用(混合診療)が認められています。

つまり、先進医療に要する費用は全額自己負担となります。

保険マメ知識

先進医療(せんしんいりょう)
高度な医療技術を用いた治療のうち厚生労働大臣から承認を受けたもの。

差額ベッド代などと比較すると、先進医療費が必要なケースは少ないですが、100万円単位の費用がかかるケースも珍しくありませんので、費用負担の大きな治療といえます。

その他の自己負担

上記以外にも、下記の費用は健康保険対象外で自己負担となります。

・入院時の食事代

・入院にかかる雑費や日用品代

・家族が見舞いにくる交通費

・医師が治療に必要と認めない整骨院、針、きゅう、マッサージなど

(5)がん治療中の収入減に備える方法

がん治療中やその後の収入減に対する備えは重要です。
東京都福祉保健局の「がん患者の就労などに関する実態調査」(平成26年5月)によると、がん罹患後に収入が減った人の割合は56.8%と過半数を占めており、さらに、21.3%もの人が退職しています。

がん罹患後の収入減と退職者数

がん治療中の収入減に備えるためには、社会保険制度を活用する方法と、貯蓄や保険など個人で備える方法などがあります。

社会保険制度の活用

がんで治療費がかかったり収入が減った場合に活用できる社会保険の給付金の概要は、下記の通りです。

給付金 概要
高額療養費 同一月内に自己負担額を超える医療費の支払いがあった場合、超えた分が払い戻される制度。健康保険から給付。
傷病手当金 病気やケガで休業し報酬が支払われない場合に、給与の3分の2相当の手当金を受給できる制度。健康保険から給付。
障害厚生年金 病気やケガが原因で生活や仕事に支障がある場合、年金が受給できる制度。公的年金制度から給付。

保険マメ知識

傷病手当金(しょうびょうてあてきん)
主に会社員が加入する健康保険、公務員等が加入する公務員等共済組合で業務災害以外の理由による病気・ケガの療養のため仕事を休んだ場合に、所得保障を行うという法律上定められた制度※1。
自営業者等が加入する国民健康保険では任意給付(保険者である自治体単位で給付の有無を決定する項目)となるため、所得保障されないことがほとんどである。国民健康保険に加入しており、2020年の新型コロナウィルス感染症に感染した被用者を対象に傷病手当金が給付されることとなった※2。
※1 出典:全国健康保険協会 「傷病手当金
※2 出典:厚生労働省 保険局国民健康保険課および高齢者医療課「新型コロナウイルス感染症に感染した被用者に対する傷病手当金の支給等について

3級まで受給できる障害厚生年金も会社員や公務員のみが対象ですが、障害の程度が重く、2級以上に該当すると自営業の人も障害基礎年金を受給できます。

(6)保険金受取時の税金

がん保険の保険金や給付金を受け取る際には税金がかかる場合とかからない場合があります。

がん保険の給付金は基本的には非課税

具体的には、次のような給付金や保険金は非課税の対象となります。

・入院給付金

・手術給付金

・通院給付金

・疾病(災害)療養給付金

・障害保険金(給付金)

・特定損傷給付金

・がん診断給付金

・特定疾病(三大疾病)保険金

・先進医療給付金

・高度障害保険金(給付金)

・リビング・ニーズ特約保険金

・介護保険金(一時金・年金) など

ただし、がん保険の中には生存給付金をはじめとする「祝い金」のようなものもあり、このような給付金は治療目的ではないため所得税や住民税がかかりますので注意が必要です。

また、非課税で受け取った給付金が相続財産として遺族に引き継がれるような場合には、相続税の課税対象となることもありますので覚えておきましょう。

医療費控除

がん保険で受け取る給付金や保険金は基本的に非課税ですが、確定申告で医療費控除を受ける際には注意が必要です。

医療費控除を受ける場合、医療機関に支払った医療費から給付金や保険金で受け取った金額を差し引く必要がありますので覚えておきましょう。

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3. がん保険の選び方・見直し方

自分にぴったりのがん保険に加入するには、「がん保険の仕組み」「保障内容」「必要性」などをしっかりと確認にして検討する必要があります。

そこで、ここでは新規加入の場合と見直しの場合の2つに分けて、がん保険のわかりやすい選び方について紹介します。

(1)新規加入の場合

がん保険に新規加入する際に気をつけるポイントは次の3つです。

1. がん保険が必要かどうか

2. 保障内容は自分に合っているかどうか

3. 保障内容と保険料のバランスは取れているかどうか

がん保険が必要かどうか

がん保険が必要ない人の特徴として、もしがんに罹患した際に以下の状態である場合が多いことが挙げられます。

・健康保険適用の治療しか行わないし、少人数部屋などでの入院はしないと割り切っている人

・多少の治療費や生活費をカバーできるだけの預貯金などの資産がたくさんある人

とはいえ、実際がんに罹患して治療をした場合、その治療費は付随費用も入れると何かとお金がかかりがちで、治療期間も長期化する傾向にあるでしょう。

そうした状態で、仕事を今までのように続けられなくなって収入が減る可能性もあります。そこまで想定しても治療や生活ができるかどうかが判断基準になります。

また、がんの発生率は40代以降で急激に高まることもわかっていますので、働き盛りの年代の男女はがん保険の必要性は高まることも理解できます。
そのため、預貯金などの資産の問題、年齢や性別の問題を考えてがん保険が必要かどうかをまず考える必要があります。

保障内容は自分に合っているかどうか

がん保険の保障内容は保険会社によって様々です。

・保険期間は終身型か有期型か

・がん診断給付金があるタイプかないタイプか?

・がんの通院治療も保障の対象かどうか?

・放射線治療や抗がん剤治療も保障の対象かどうか?

・保険料払込免除特約が付加できるかどうか?

がん保険を選ぶとき、自分が希望する保障内容を満たすものかどうか細かく確認する必要があります。

保障内容を細かく確認することで、無駄な保障を組み入れてしまうこともなくなり、必要な保障を選べないなどの間違いを少なくできます。

保障内容と保険料のバランスは取れているかどうか

保障内容と保険料のバランスが取れているかどうかを確認するには、同じ(もしくは似ている)保障内容のがん保険を複数の保険会社で見積もりや資料を取り寄せることで可能になります。その際に見るべきポイントはひとつです。

「同じ保障内容なら安いものを選ぶこと」です。

もし自分だけでは保障内容と保険料のバランスが取れているか確認するのが難しいと思えば、複数の保険会社を取り扱う保険代理店に相談するのがおすすめです。

もちろん保険代理店に見積もりや資料を請求したり、保険相談をしても必ず保険に加入しなければいけないということはありませんので、気軽に相談してみるとよいでしょう。

(2)見直しの場合

がん保険の見直しをする際に気をつけるポイントは次の3つです。

1. 現在加入しているがん保険は時代に合っているか?

2. 新しく検討するがん保険の保障内容と保険料のバランスは取れているか?

3. どこで見直しをするか?

現在加入しているがん保険は時代に合っているか?

がん保険の見直しをする際に、まず確認することは現在加入しているがん保険の保障内容が時代に合っているかどうかです。がんの治療は入院ありきだった時代から、今は通院だけでがんの治療ができる時代になり始めています。

古いがん保険になればなるほど、がん診断給付金の保障がないものがあったり、保障内容が入院や手術しかなく通院の保障がないものもあったりします。

いくら保険料が安いからといって保障内容の「古い」がん保険を続けていては、もしものときに満足に保険金や給付金を受け取ることができなくなってしまいます。

そうならないためにも、まずは現在加入しているがん保険の保障が時代に合っているかを確認しましょう。

保障内容と保険料のバランスは取れているか?

新しく検討するがん保険は、保障内容に比べて保険料が高くなっていませんか?

保障内容と保険料のバランスが取れていないと、無駄に高い保険料を支払う可能性が出てきます。

保障内容と保険料のバランスを確認するには、複数の保険会社のがん保険を比較することが一番のおすすめです。

・現在加入しているがん保険との比較

・複数のプランの新しいがん保険の比較

その中で保障内容が同じでも保険料が安いものを選ぶと失敗せずにがん保険に加入することができます。

どこで見直しをするか?

がん保険の見直しをする場合、同じ保険会社に比較できるがん保険がもう1種類ある可能性は極めて低いため、加入している以外の保険会社でがん保険の見直しをすることで根本的な保障の見直しができるでしょう。

がん保険は保険会社ごとに保障内容が異なり、保険料にも差が出てきますので、必ず複数の保険会社で比較して見直すことが必要です。

一番簡単に見直しができるのが、複数の保険会社を取り扱っている保険代理店です。保険代理店には経験豊富なFP(ファイナンシャルプランナー)資格を持ったスタッフもいますので、納得いくまで説明してもらい見直しをすることができれば、自分にぴったり合ったがん保険に加入することができます。

まずは気軽に相談してみましょう。

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4. がん保険のチェックポイント

何のため?
  • がんの罹患時の高額になりがちな医療費に備えて
いくら必要?
  • 社会保険では準備しきれない部分の医療費と収入減による生活費の工面に
期間は?
  • 自分が必要な期間(一定期間、一生涯)を設定
誰が使う?
  • 自分のために
受取方法は?
  • 診断されたら一括して受け取れる(非課税)保険

がん保険は、健康保険や高額療養費制度では対応できない高額な治療費や生活費を補てんするという位置づけにあります。

ただし、預貯金などの資産を多く持ち、がん治療を続けても生活に困ることがないような人には不要な保険でもありますので、まずは自分にがん保険が必要かどうかを考えることが大切です。

自分にがん保険が必要だと確認ができたならば、必要な保障をしっかりと組み入れて保険料とのバランスの取れた商品を選ぶことで、自分にぴったり合ったがん保険に加入することができるようになります。

これからがん保険に加入しようと考えている人や、今加入しているがん保険を見直したいと考えている人は、その必要性・保障・保険料のバランスが取れているかをしっかりと確認しながら検討していくとよいでしょう。

監修者プロフィール

吹田 朝子(すいた ともこ)

吹田 朝子

(すいた ともこ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士、
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

ぜにわらい協会会長 一般社団法人円流塾 代表理事。人とお金の理想的な関係を追究するお金のメンタリスト®。1989年一橋大学卒業後、金融機関にて企画調査・主計部門を経て1994年より独立。
顧客相談3300世帯以上。TV出演・新聞連載など多数。結婚・妊娠・出産・子育てや転職・住宅購入、そして親の介護など、様々な人生イベントを含み、夫婦の稼ぎ方からお金の使い方、受け取り方、増やし方、そして家族のために次世代まで幸せが続くお金の使い道を設計することを生業としている。著書に「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」(スタンダーズ社)、「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」(C&R研究所)など多数。

長尾 義弘(ながお よしひろ)

長尾 義弘

(ながお よしひろ)

ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員、辛口保険評論家

NEO企画代表。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。
著書に「コワ~い保険の話」(宝島社)、「こんな保険には入るな!」(廣済堂出版)「商品名で明かす今いちばん得する保険選び」「お金に困らなくなる黄金の法則」「保険払いすぎ見直しBOOK」「最新版 保険はこの5つから選びなさい」「老後資金は貯めるな!」(河出書房新社)、「保険ぎらいは本当は正しい」(SBクリエイティブ)。共著に「金持ち定年、貧乏定年」(実務教育出版)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ「よい保険・悪い保険」など多数。