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がん保険って? about

がん保険は医療保険の仲間のひとつで、数ある病気の中でもがんに特化した保険になります。損害保険会社も、生命保険会社も取り扱いを行なっている商品です。がん保険の保障内容は保険会社ごとに異なり、強く力を入れている保障にも特徴が出ているので自分がどんな保障をがん保険に求めるのかによって選ぶがん保険は違ってきます。すでに生命保険契約をしている世帯でのがん保険加入率は62.8%※となっています。

また、現在金融庁に登録されている生命保険会社は41社、損害保険会社は31社もありますので、この中からあなたにぴったりのがん保険を選ぶのは簡単なことではありません。そこで、ここではがん保険の特徴や必要性などを確認しながら、新規でがん保険に加入する方法や見直しの方法について見ていきましょう。
※出典 (公財)生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」

目次

監修者プロフィール

吹田 朝子(すいた ともこ)

吹田 朝子

(すいた ともこ)

1級ファイナンシャルプランニング技能士、
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

ぜにわらい協会会長 一般社団法人円流塾 代表理事。人とお金の理想的な関係を追究するお金のメンタリスト®。1989年一橋大学卒業後、金融機関にて企画調査・主計部門を経て1994年より独立。
顧客相談3300世帯以上。TV出演・新聞連載など多数。結婚・妊娠・出産・子育てや転職・住宅購入、そして親の介護など、様々な人生イベントを含み、夫婦の稼ぎ方からお金の使い方、受け取り方、増やし方、そして家族のために次世代まで幸せが続くお金の使い道を設計することを生業としている。著書に「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」(スタンダーズ社)、「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」(C&R研究所)など多数。

長尾 義弘(ながお よしひろ)

長尾 義弘

(ながお よしひろ)

ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員、辛口保険評論家

NEO企画代表。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。
著書に「コワ~い保険の話」(宝島社)、「こんな保険には入るな!」(廣済堂出版)「商品名で明かす今いちばん得する保険選び」「お金に困らなくなる黄金の法則」「保険払いすぎ見直しBOOK」「最新版 保険はこの5つから選びなさい」「老後資金は貯めるな!」(河出書房新社)、「保険ぎらいは本当は正しい」(SBクリエイティブ)。共著に「金持ち定年、貧乏定年」(実務教育出版)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ「よい保険・悪い保険」など多数。

1. がん保険ってどんな保険?

(1)がん保険とは「がん(悪性新生物・上皮内新生物)の保障に特化した保険」

がん保険とは、民間の保険会社が販売している医療保険の仲間のひとつで、病気の中でもがんに特化して保障する保険です。がん保険は主に次の4つの保障内容から成り立っています。

  • ① がん診断給付金
  • ② がん入院給付金
  • ③ がん通院給付金
  • ④ がん手術給付金

この他にも、がん先進医療特約、放射線治療給付金、緩和療養給付金、保険料払込免除特約など保険会社によって名前や保障内容は異なりますが、がんに特化したたくさんの保障や特約を選ぶことができます。たくさんの保障を選べばそれだけ保険料は高くなりますが、必要な保障だけを選べばあなただけのオーダーメイドのがん保険を作ることも可能です。

(2)がん保険の種類

がん保険には「主契約型」と「特約型」の2種類があります。

主契約型
がん診断給付金やがん入院給付金そのものががん保険という形になっているもので、特約型は主契約が死亡保険などで、その特約として「がん診断給付金特約」「がん入院給付金特約」などを付加するものです。

充実した保障内容を選びたいのであれば、保障の種類の多い主契約型を選ぶことをおすすめします。主契約型にはがん先進医療特約や保険料払込免除特約などの特約を付加してさらに保障を充実させることができます。

ただし、保障を充実させることで保険料は高くなりますので、必要ない保障まで組み込んでしまうと保険料の支払が家計を圧迫してしまうので注意が必要です。

特約型
主契約型よりも安い保険料でがんに対する保障を選ぶことができますが、主契約型と比べると保障の種類が少ないというデメリットがありますので、必要な保障が特約型にあるかどうかをしっかりと見極める必要があります。

また、特約型の主契約である死亡保険などを解約してしまうと特約のがんに対する保障もなくなってしまいますので、将来もし主契約を解約する予定がある場合には特約型のがん保険ではなく主契約型のがん保険を選んだ方が安心です。

(3)保障期間について

がん保険の保障期間をどのように決めるかを考えるときのポイントは次の2つです。

  • ① 終身型、定期型どちらにするか
  • ② 免責期間があること
終身型、定期型の2種類

がん保険の保障期間には「終身型」と「定期型」の2種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

  メリット デメリット
終身型
  • 一生涯のがんに対する保障がある
  • 保険料が一生上がらない
※一部の保険会社では60歳以降の保険料が下がるものも販売しています
  • 定期型と比べて保険料が高い場合がある
  • 契約が長くなれば保障内容が新しい医療技術についていけなくなる可能性がある
定期型
  • 終身型と比べて保険料が安い
  • 保険満了時に保障の見直しができる
  • 保障は更新しても80歳までしか続かない場合がほとんど
  • 更新ごとに保険料が上がる

「一生涯のがんの保障がほしい」「保険料は一生上がらないほうがいい」と思うなら終身型を、「一定の期間だけ保障が欲しい」「今は保険料をできるだけ抑えたい」と思うなら定期型を選ぶと良いでしょう。ただし、どちらを選んでもライフステージなどの変化があれば保障の見直しをすることもできますし、がんに対する最新の治療法を保障するプランがあれば比較検討して見直すこともできます。

免責期間がある

通常、生命保険は申込手続きが完了し、第一回目の保険料の支払完了後または告知や診査が完了したどちらか遅い日から保障は開始しますが、がん保険の保障開始は少し違います。がん保険には保障開始までに一定の待期期間があり、一般的に加入後90日が経過しないと保障は開始しません。これを免責期間といいます。

なぜがん保険に免責期間があるかというと、それは契約の公平性を保つためです。 がん保険にはがん診断給付金など高額な保障があるため、病院でがんと診断されていなくても様々な自覚症状が出ている状態でがん保険に加入し、保険金や給付金を不正に受け取ることがないように免責期間が設定されています。免責期間中は、がん診断給付金、がん入院給付金、がん通院給付金、がん手術給付金などの保障はされませんので、新規加入や見直しの際には注意が必要です。

ただし保険会社によっては、免責期間のないがん保険を販売しているところもあり、そういったがん保険にはがん診断給付金がなかったり、保障される金額が小さかったりするものが多い傾向にあります。がん保険への加入を検討する際には免責期間のある・なしを必ず確認するようにしましょう。

(4)保険料と保険料払込期間について

「がん保険の保障を充実させながら保険料も安く抑えたい」そう考えるなら、保険料と払込期間をしっかりと確認して検討する必要があります。そのうえでポイントとなるのが次の2つです。

  • ① 終身払と有期払
  • ② 払込期間は期間満了もしくは保険事故発生まで
終身払いと有期払い

がん保険の保険料の支払方法には、終身払いと有期払いの2つがあり、同じ保障内容でも払込方法が違うと毎月の保険料の支払金額にも差が出てきます。

① 終身払
一生涯にわたり保険料を支払うことで毎月の保険料を下げる効果がある。

② 有期払
60歳、65歳など保険料の支払期間が決まっていて、保険料払込完了後は家計への負担ゼロで保障を継続することができる。

例)A社という生命保険会社で30歳女性が終身がん保険に加入した場合、終身払いだと毎月の保険料は2,445円ですが、60歳払いにすると毎月の保険料は3,828円となります。もし60歳まで生きたときには終身払いの支払保険料の合計は880,200円ですが、60歳払いの支払保険料の合計は1,378,080円となります。47年後(77歳)になるまで生きた場合、終身払いの支払保険料の合計が1,378,900円と60歳払いを上回ります。厚生労働省の「主な年齢の平均余命」を見ると、30歳女性の平均余命は87歳ですので、データ的に見れば終身払いよりも有期払い(60歳払い)のほうがトータルでお得ということがわかります。

ただし、定期的な見直しを考えているのであれば保険料の安い終身払いを選ぶもの間違いではありませんので、まずは自分がどの払込方法を選びたいのかをしっかりと検討しましょう。

払込期間は期間満了もしくは保険事故発生まで

保険料の払込期間は通常、終身払いか有期払いなど保険期間満了までですが、保険事故発生時(この場合はがんになったとき)も保険料の支払が免除される場合があります。それは保険料払込免除特約が付加されている場合です。がん保険における保険料払込免除特約は、医療機関で初めて悪性新生物(がん)と診断された場合に以降の保険料の払込を免除するというものです。通常、がん保険の保険期間中に保険金や給付金を受け取ったとしても、毎月の保険料の支払を継続する必要があります。

しかしこの場合、がんの治療に専念するために仕事を休んだりセーブしたりすることで生じる収入減が続くと、預貯金が減り保険料の支払が困難になり保険が失効してしまうことがあります。保険が失効してしまうと保険金や給付金の請求や受取もできなくなりますので、がん保険に加入するときには必ず保険料払込免除特約(後述:がん保険ってどんな保険?>(5)がん保険の特約、解約と税金について>保険料払込免除特約)の付加を検討するようにしましょう。

(5)がん保険の特約、解約と税金について

がん保険の特約について

がん保険にはがん診断給付金、がん入院給付金、がん手術給付金などの他にさまざまな種類の特約を付加することができます。

  • がん先進医療特約
  • 保険料払込免除特約
  • がん通院給付金特約
  • 放射線治療給付金特約
  • 緩和ケア給付金特約 など

これらの特約は保険会社ごとに名称が異なる場合があり、また保障内容や支払条件などにも差がありますので契約前に必ず各保険会社に確認しておきましょう(保険会社によっては特約自体がない場合もあります)。

がん先進医療特約

がん先進医療特約は、保険期間中にがんを直接の原因として約款所定の先進医療による療養を受けたときにその治療にかかった自己負担分の給付金を受け取ることができます(先進医療による療養の範囲は、厚生労働省により不定期に更新されています)。

がん治療で利用される先進医療で有名なものに重粒子線治療(約300万円)がありますが、厚生労働省の「先進医療の概要について」でもあるように健康保険の適用外の治療ですので治療費は全額自己負担になります。最近は、がんは治る病気と言われ、様々な医療技術の進化を取り入れて治療したいという人には、先進医療特約はあると助かる特約でしょう。

保険料払込免除特約

がん保険に付加されている保険料払込免除特約は、初めて悪性新生物(がん)と診断確定されたとき、以降の保険料の払込が免除されます。東京都福祉保健局の「がん患者の就労等に関する実態調査」では、がんによって「収入が減ったと答えた個人は56.8%、世帯収入では45.0%が減ったと答えています。

がんの治療は高額化かつ長期化する傾向にあり、その影響で収入減になり保険料の払込が困難になると契約が失効してしまい、保険金や給付金を請求することができなくなってしまいますので、保険料払込免除特約は必ず検討するようにしましょう。

がん通院給付金特約

がんの治療には手術や薬物治療、放射線治療などがありますが、国立がん研究センターによると部位や程度によっては最初から通院で治療できるがん治療も増えてきているといわれています。ですから、入院や手術に対する保障だけでなく、通院治療にも対応しているがん通院給付金特約も必ず検討しておきましょう。

放射線治療給付金特約

放射線治療給付金特約とは、「がん」や「上皮内新生物」の治療を目的とする所定の放射線治療(電磁波温熱療法を含む)を受けたときに給付金を支払うというものです。

保険会社によって保障される内容は異なりますが、一般的には「60日に1回」「支払回数は無制限」などの内容で保障されているイメージで、入院治療を行わずに通院で放射線治療を行う場合、がん入院給付金だけだと対応できない部分となりますので、検討することをおすすめします。

緩和ケア給付金特約

緩和ケア給付金特約とは、がんによる「痛み」を取るための治療や処置をしたときに給付金を支払うというものです。具体的には次のようなものが保障の対象となります。

  • がん性疼痛緩和(とうつうかんわ)を目的とする所定の疼痛緩和薬または神経ブロックが使用された入院または通院をしたとき
  • がん性疼痛などの各種症状の緩和を目的とする所定の緩和ケア病棟へ入院をしたとき
  • がん性疼痛などの各種症状の緩和を目的とする所定の在宅医療を受けたとき

ただし、「1ヶ月に1回」「保険期間内に24回まで」などと条件が決まっている場合や、そもそも特約自体を取り扱っていない保険会社もありますので事前の確認が必要です。

解約について

解約とは契約を解除することです。生命保険の契約についても加入当初は、解約しないことを前提に契約されることがほとんどでしょう。しかし、環境の変化や家計の変化などで、どうしてもという時もあるでしょう。その場合には、生命保険会社所定の手続きを踏むことで解約が可能です。生命保険会社ごとに手続き方法は異なりますので、詳しくはご契約の生命保険会社へご確認ください。

放射線治療給付金特約

がん保険でも掛け捨て型であれば、解約しても解約返戻金はないか少ないことが一般的です。一方、終身型の場合には、契約年数に応じて解約返戻金が変動するため、一概には言えませんが、解約返戻金がある場合があります。

解約返戻金を受け取った際、税金はどうなるのでしょうか?解約返戻金は、一時所得の扱いになります(2019年4月時点)。これは、解約までに払い込んだ保険料の累計額<解約返戻金の場合に一時所得として所得税がかかることを指します。基本的な計算式は、下記の通りとなります。

【(解約返戻金-支払保険料総額-50万円(特別控除))× 1/2】= 課税対象額

一時所得は、その他の所得との総合課税となり、個人毎に税率等が異なるためご注意ください!!
詳細は税理士または税務署にご確認をお願いいたします。

保険マメ知識

解約返戻金(かいやくへんれいきん)
生命保険などの保険契約を解約した際に戻ってくるお金のこと。

(6)がん保険のメリット・デメリット

がん保険のメリット
  • 入院給付金は日数の限度が無い
  • がん診断時に一時金を受け取ることができる
  • 先進医療特約で最新の治療法も選択できる
がん保険のデメリット
  • がんに対する治療のみを保障対象としている
  • 皮膚ガン(上皮内新生物)の一部は保険の対象にならないものもある
  • 契約後には90日間の待機期間(免責期間)がある
  • 公的な健康保険でも対応できる場合がある
  • 死亡保障が少ない

2. がん保険の必要性

(1)がんという病気について

がん保険はがんに特化した保険で保障内容も充実しているものが多いのが特徴です。しかし、そもそもがん保険は本当に必要なものなのでしょうか?健康保険の高額療養費制度など通常使える社会保険では、足りないのでしょうか?ここでは、がんという病気の特性、かかる治療費について、様々な治療方法などのポイントからその必要性を見てみましょう。

がんは悪性新生物(悪性腫瘍)であり、良性の腫瘍とは異なります。悪性新生物には3つの特徴があり、良性でも発生する部位によっては脳腫瘍のように重篤な症状になることもあります。

悪性新生物の3つの特徴

①自律性増殖
がん細胞はヒトの正常な新陳代謝の都合を考えず、自律的に勝手に増殖を続け、止まることがない。

②浸潤(しつじゅん)と転移
周囲にしみ出るように広がる(浸潤)とともに、体のあちこちに飛び火(転移)し、次から次へと新しいがん組織をつくってしまう。

③悪液質(あくえきしつ)
がん組織は、他の正常組織が摂取しようとする栄養をどんどん奪ってしまい、体が衰弱する。

がんに罹患する確率と死亡する確率
国立がん研究センターの調査によると、生涯でがんに罹患する確率は、男性62%(2人に1人)、女性47%(2人に1人)といわれています。罹患率は男女ともに50歳代くらいから増加し、高齢になればなるほど高くなる傾向にあります。
がん全部位 年齢階級別罹患率(2015年)
  • ※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
     対人口10万人(人口10万人あたり、年齢別で何人ががんになるのか)

また、男女でがんで死亡する人の多い部位も異なっていて、男性では肺・胃・肝臓・結腸・膵臓が女性では肺・結腸・膵臓・胃・乳房が多いという結果も出ています。

部位別がん死亡数(2017年)
  • ※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

ただし、死亡する人が多い部位のがんと罹患しやすい部位のがんは異なり、男性は胃・肺・前立腺の順に、女性は乳房・結腸・胃の順となっていて違いは明らかです。

部位別がん罹患数(2015年)
  • ※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

次の図を見るとわかる通り、男性では40歳以上で消化器系のがん(胃、大腸、肝臓)の罹患が多くを占めますが、70歳以上ではその割合は減少し、前立腺がんと肺がんの割合が増加しています。女性では40歳代では乳がん、子宮がん、卵巣がんの罹患が多くを占めますが、高齢になるほどその割合は減少し、消化器系のがん(胃、大腸、肝臓)と肺がんの割合が増加する傾向にあります。

年齢部位別がん罹患数割合(男性) 年齢部位別がん罹患数割合(女性)
  • ※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

このように、男女それぞれで罹患しやすいがん、死亡するリスクの高いがんが違うことを理解し、それぞれの年齢ごとに異なるリスクがあることを知っておきましょう。また、検診受診率の上昇により早期発見・早期治療ができるようになったこと、治療技術の進歩、検査技術の向上などの理由から罹患率が延びているかわりに、がんの死亡率は減少していることから、がんは「早期で治療すれば治る」病気へと変わってきました。

(2)がんの治療費はいくら?がんの治療方法ってどんなもの?

がんの治療費は高額になりがちで、がんの部位や範囲、進行具合によって治療方法は異なりますので、かかる治療費にも差が出てきます。また、がんの治療にかかるお金の問題は個人だけの問題ではなく、家族の問題としても家計を圧迫する原因となります。がんの治療が始まると高額な治療費だけでなく、仕事を休んだり退職したりすることもあり生活が苦しくなることも予想できますので、治療費や収入減による生活費の補てんをどうするかは早いうちに考えておくべき問題でもあります。

高額な治療費には健康保険の高額療養費制度などの社会保険も利用できますが、それを差し引いても家計にかかる負担は大きくなる傾向にありますので、預貯金に大きな余裕がない場合にはやはりがん保険への加入を検討することが必要になってきます。これから紹介する治療費の目安は、セールス手帖社保険FPS研究所発行の「がんとお金の真実」という冊子を参考にしています。

胃がんの治療費の目安
・内視鏡治療
約5万7,000円(自己負担3割:約1万7,000円)
・入院費用(5日間)
約26万円(自己負担3割:約7万8,000円)
・入院諸経費
約2万円(全額自己負担)
・薬物療法(抗がん剤治療)
約68万1,000円(自己負担3割:約20万4,000円)
・3ヶ月ごとの定期検査
約13万3,000円(自己負担3割:約4万円)
・通院のための交通費
約1万円(全額自己負担)

合計:約36万9,000円(罹患後3年間、高額療養費適用なし)

肺がんの治療費の目安
・胸部CT検査、MRI検査などの精密検査
約34万3,000円(自己負担3割:約10万3,000円)
・放射線療法、薬物療法
約92万円(自己負担3割:約27万6,000円)
高額療養費適用後の自己負担:8万7,000円
・抗がん剤治療
約68万円(自己負担3割:約20万4,000円)
・薬物療法(抗がん剤治療)
約68万1,000円(自己負担3割:約20万4,000円)
・セカンドオピニオン受診
約3万5,000円(全額自己負担)
・診療情報提供書などの費用
約6,000円(自己負担3割約2,000円)
・入院費用(10日間)
約95万7,000円(自己負担3割:約28万7,000円)
高額療養費適用後の自己負担:約8万7,000円
・薬物療法
約20万円×22ヶ月=約440万円(自己負担3割:約132万円)
・定期検査
2年総額約40万4,000円(自己負担3割:約12万1,000円)
・通院のための交通費
約11万円(全額自己負担)

合計:約206万9,000円(罹患後3年間)

乳癌の治療費の目安
・マンモグラフィー検査、エコー検査など
約11万円(自己負担3割:約3万3,000円)
・抗がん剤治療
約72万円(自己負担3割:約21万6,000円)
・入院費用(14日間)
約100万円(自己負担3割:約30万円)
高額療養費適用後の自己負担:約8万7,000円
・差額ベッド代
1日約2万円×14日間=約28万円(全額自己負担)
・入院にかかった諸経費
約1万円(全額自己負担)
・入院で家族にかかった外食費や交通費
約3万円(全額自己負担)
・抗がん剤治療
約57万6,000円(自己負担3割:約17万3,000円)
・ウィッグ、健康食品、サプリ、漢方など
約10万円(全額自己負担)
・ホルモン療法
約95万円(自己負担3割:約28万5,000円)
・インプラントによる乳房再建手術(4日間)
約100万円(健康保険適用外、全額自己負担)
・定期検査により薬物療法、ホルモン療法
約354万円(高額療養費適用後の自己負担:64万2,000円)
・リンパドレナージマッサージ
約18万円(全額自己負担)
・リンパ浮腫予防の弾性スリーブ代
約6万円(自己負担3割:約1万8,000円)
・再発のための治療と定期検査
約67万円(自己負担3割:約20万円)
・通院のための交通費
約8万円(全額自己負担)
・その他の雑費
約5万円(全額自己負担)

合計:約353万5,000円(罹患後5年間)

【出典】セールス手帖社保険FPS研究所発行の「がんとお金の真実」

がん治療方法

従来がん治療の基本は手術でしたが、近年では薬物療法や放射線治療が著しく進歩し、複数の治療法を組み合わせた「集学的治療」も数多く行われるようになりました。がんに罹患した人が受ける治療には手術・放射線治療・抗がん剤治療などの三大がん治療があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

手術(外科療法)

手術はがんおよびその周辺組織の全部または一部を切除する治療法です。
最近では開腹手術に比べて体への負担が少ない腹腔鏡など内視鏡を用いた手術が重視されていますが、それには高度な医療技術を必要とします。

【手術のメリット】

  • がんが局所に固まっていれば有効な治療法で、根治性が高い

【手術のデメリット】

  • ときに臓器などの機能と身体の形態の欠損(ダメージ)が大きいことがある
抗がん剤治療

抗がん剤治療は、抗がん剤を点滴や静脈内注射、内服などの方法で投与し、細胞が増殖するのを抑えたり成長を遅らせたり、転移や再発を防いだり、小さながんで転移しているかもしれないところを治療するためなどに用いられます。最近注目されている分子標的薬は、細胞のがん化やがん細胞の増殖に必要なたんぱく質や分子などを狙い撃ちするため、生存期間を大幅に延長できるなど大きな効果が得られています。

【抗がん剤治療のメリット】

  • 全身に作用し、病状の進行を抑えたり、延命効果があることもある

【抗がん剤治療のデメリット】

  • 吐き気や脱毛などの副作用が課題で、根治性が高いとはいえない
放射線治療

放射線治療はがんおよび周辺組織に放射線を当てたり、小さな放射線源をがんの近くの体内に埋め込むことにより、がん細胞を破壊してがんを消滅させたり小さくします。また、骨転移による痛みや脳転移による神経症状を和らげるときにも行います。

【放射線治療のメリット】

  • 放射線治療はがんが局所に固まっていれば有効で、臓器などの機能と身体の形態の欠損(ダメージ)が少なく、全身への影響も少ない
  • 早期がんへの治療成績が高い

【放射線治療のデメリット】

  • 局所に副作用を残すことがある

(3)保険金受取時の税金

がん保険の保険金や給付金を受け取る際には税金がかからない場合とかかる場合があります。

がん保険の給付金は基本的には非課税

所得税法施行令第30条には、「損害保険契約に基づく保険金及び生命保険契約に基づく給付金で、身体の傷害に基因して支払を受けるもの並びに心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金」(一部要約)と記載されています。

具体的には、次のような給付金や保険金が非課税の対象となります。

  • 入院給付金
  • 手術給付金
  • 通院給付金
  • 疾病(災害)療養給付金
  • 障害保険金(給付金)
  • 特定損傷給付金
  • がん診断給付金
  • 特定疾病(三大疾病)保険金
  • 先進医療給付金
  • 高度障害保険金(給付金)
  • リビング・ニーズ特約保険金
  • 介護保険金(一時金・年金) など

ただし、がん保険の中には生存給付金のような「祝い金」のようなものもあり、このような給付金は治療目的ではないため所得税や住民税がかかりますので注意が必要です。また、非課税で受け取った給付金が相続財産として遺族に引き継がれるような場合には、相続税の課税対象となることもありますので覚えておきましょう。

医療費控除

がん保険で受け取る給付金や保険金は基本的に非課税ですが、確定申告で医療費控除を受ける際には注意が必要です。医療費控除を受ける場合、医療機関に支払った医療費から給付金や保険金で受け取った金額を差し引く必要がありますので覚えておきましょう。

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3. がん保険の選び方・見直し方

自分にぴったりのがん保険に加入するには、これまでお伝えしたように「がん保険の仕組み」「保障内容」「必要性」などをしっかりと確認にして検討する必要があります。そこで、ここでは新規加入の場合と見直しの場合の2つに分けて、がん保険のわかりやすい選び方について紹介します。

(1)新規加入の場合

がん保険に新規加入する際に気をつけるポイントは次の3つです。

  • ① がん保険が必要かどうか
  • ② 保障内容は自分に合っているかどうか
  • ③ 保障内容と保険料のバランスは取れているかどうか
がん保険が必要かどうか

がん保険が必要ない人の特徴として、もしがんに罹患したら

  • 健康保険適用の治療しか行わないし、少人数部屋などでの入院はしないと割り切っている人
  • 多少の治療費や生活費をカバーできるだけの預貯金などの資産がたくさんある人

が多いということが挙げられます。

とはいえ、実際がんに罹患して治療をした場合、その治療費は付随費用も入れると何かとお金がかかりがちで、治療期間も長期化する傾向にあるでしょう。そうした状態で、仕事を今までのように続けられなくなって収入が減る可能性もあります。 そこまで想定しても治療や生活ができるかどうかが判断基準になります。

また先ほど「がんという病気について」でも触れましたが、がんの発生率は40代以降で急激に高まることもわかっていますので、働き盛りの年代の男女はがん保険の必要性は高まることも理解できます。そのため、預貯金などの資産の問題、年齢や性別の問題を考えてがん保険が必要かどうかをまず考える必要があります。

保障内容は自分に合っているかどうか

がん保険の保障内容は保険会社によって様々です。

  • 保険期間は終身型か有期型か
  • がん診断給付金があるタイプかないタイプか?
  • がんの通院治療も保障の対象かどうか?
  • 放射線治療や抗がん剤治療も保障の対象かどうか?
  • 保険料払込免除特約が付加できるかどうか?

がん保険を選ぶとき、あなたが希望する保障内容を満たすものかどうか細かく確認する必要があります。保障内容を細かく確認することで、無駄な保障を組み入れてしまうこともなくなり、必要な保障を選べないなどの間違いを少なくできます。

保障内容と保険料のバランスは取れているかどうか

保障内容と保険料のバランスが取れているかどうかを確認するには、同じ(もしくは似ている)保障内容のがん保険を複数の保険会社で見積もりや資料を取り寄せることで可能になります。その際に見るべきポイントはひとつです。

「同じ保障内容なら安いものを選ぶこと」です。

もし自分だけでは保障内容と保険料のバランスが取れているか確認するのが難しいと思えば、複数の保険会社を取り扱う保険代理店に相談するのがおすすめです。もちろん保険代理店に見積もりや資料を請求したり、保険相談をしても必ず保険に加入しなければいけないということはありませんので、気軽に相談してみるとよいでしょう。

(2)見直しの場合

がん保険の見直しをする際に気をつけるポイントは次の3つです。

  • ① 現在加入しているがん保険は時代に合っているか?
  • ② 新しく検討するがん保険の保障内容と保険料のバランスは取れているか?
  • ③ どこで見直しをするか?
現在加入しているがん保険は時代に合っているか?

がん保険の見直しをする際に、まず確認することは現在加入しているがん保険の保障内容が時代に合っているかどうかです。がんの治療は入院ありきだった時代から、今は通院だけでがんの治療ができる時代になり始めています。

古いがん保険になればなるほど、がん診断給付金の保障がないものがあったり、保障内容が入院や手術しかなく通院の保障がないものもあったりします。いくら保険料が安いからといって保障内容の「古い」がん保険を続けていては、もしものときに満足に保険金や給付金を受け取ることができなくなってしまいます。そうならないためにも、まずは現在加入しているがん保険の保障が時代に合っているかを確認しましょう。

新しく検討するがん保険の保障内容と保険料のバランスは取れているか?

新しく検討するがん保険は、保障内容に比べて保険料が高くなっていませんか?保障内容と保険料のバランスが取れていないと、無駄に高い保険料を支払う可能性が出てきます。

先ほどもお伝えしましたが、保障内容と保険料のバランスが取れているか確認するには、複数の保険会社のがん保険を比較することが一番のおすすめです。現在加入しているがん保険との比較、複数のプランの新しいがん保険の比較、その中で保障内容が同じでも保険料が安いものを選ぶと失敗せずにがん保険に加入することができます。

どこで見直しをするか?

がん保険の見直しをする場合、最も大切なことは加入している以外の保険会社でがん保険の見直しをするということです。なぜかというと、同じ保険会社に比較できるがん保険がもう1種類あるという確率は極めて低く、根本的な保障の見直しができないからです。がん保険は保険会社ごとに保障内容が異なり保険料にも差が出てきますので、必ず複数の保険会社で比較して見直すことが必要です。

一番簡単に見直しができるのが、複数の保険会社を取り扱っている保険代理店です。保険代理店には経験豊富なFP(ファイナンシャルプランナー)資格を持ったスタッフもいますので、納得いくまで説明してもらい見直しをすることができれば、あなたにぴったり合ったがん保険に加入することができますので、まずは気軽に相談してみましょう。

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4. がん保険のチェックポイント

何のため?
  • がんの罹患時の高額になりがちな医療費に備えて
いくら必要?
  • 社会保険では準備しきれない部分の医療費と収入減による生活費の工面に
期間は?
  • 自分が必要な期間(一定期間、一生涯)を設定
誰が使う?
  • 自分のために
受取方法は?
  • 診断されたら一括して受け取れる(非課税)保険

このように、がん保険は健康保険や高額療養費制度では対応できない高額な治療費や生活費を補てんするという位置づけにあります。ただし、預貯金などの資産を多く持ち、がん治療を続けても生活に困ることがないような人には必要ない保険でもありますので、まずは自分にがん保険が必要かどうかを考えることが大切です。

そして自分にがん保険が必要だと確認ができたら、必要な保障をしっかりと組み入れて保険料とのバランスの取れた商品を選ぶことで間違った商品を選ばずに、自分にぴったり合ったがん保険に加入することができるようになります。これからがん保険に加入しようと考えている人や、今加入しているがん保険を見直したいと考えている人は、その必要性と保障と保険料のバランスが取れているかをしっかりと確認しながら検討していくとよいでしょう。